双括型の特徴を生かして筆者の主張をとらえる 教材分析の 《3つの鉄則》

執筆者: 白石 範孝

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今回取り上げるのは、5年生の説明文教材「固有種が教えてくれること」です。
シンプルな構成となっており、基本三部構成や基本三文型をとらえる練習に最適です。
説明文にはつきものの「資料」の読み方も学ぶことができます。

  • 鉄則1 基本三部構成をとらえる
  • 鉄則2 話題・課題をとらえる
  • 鉄則3 まとめ・主張・要旨をとらえる

※鉄則の概要については「第1回 教材分析の《3つの鉄則》」を参照

説明文は、「結論」が書かれている位置の違いによって特徴が異なります。
「基本三部構成」をとらえるだけでなく、「基本三文型」のどれに当てはまるのかに注目することによって、筆者の主張をとらえることができます。
全体が読めたら、「要約文」も書いてみましょう。

この連載を毎月お読みいただいている読者であれば、文章全体を大きく3つの部分に分け、基本三部構成をとらえることにも慣れてきたことと思います。
(もし、「今回初めて読んだ」という方がいらっしゃいましたら、ぜひバックナンバーをお読みください。)
「固有種が教えてくれること」は、11の形式段落からなる説明文です。
基本三部構成は比較的とらえやすく、次のようになっています。

  • 〈はじめ〉…①、②段落
  • 〈なか〉 …③~⑩段落
  • 〈おわり〉…⑪段落

説明文の学習で基本三部構成をとらえることの目的はいくつかありますが、「基本三文型」をとらえることもその一つです。
「基本三文型」とは、「結論」が〈はじめ〉〈なか〉〈おわり〉のどこに書かれているかによって、三種類に分類することです。

基本三文型

頭括型:低学年の教材に多い。新聞記事などもこの頭括型で書かれていることが多い。

尾括型:最も一般的。自分の発見や感動を伝える文章や、コラムなどに多い。

双括型:結論が強調される「説得の文型」。〈おわり〉の結論は、〈はじめ〉の結論に付け加えられたものとなる。

「固有種が教えてくれること」の〈はじめ〉と〈おわり〉を比べてみましょう。
〈はじめ〉では、②段落の最後に次のような文があります。

わたしは、この固有種たちがすむ日本の環境を、できるだけ残していきたいと考えています。

言うまでもなく、「筆者の考え」が述べられていますので、これがこの文章の「結論」ととらえてよいでしょう。
次に、〈おわり〉の⑪段落の最後を見てみます。

ですから、わたしたちは、固有種がすむ日本の環境をできる限り残していかなければなりません。それが、日本にくらすわたしたちの責任なのではないでしょうか。

「固有種がすむ日本の環境を残していくべきだ」という②段落で示された結論が繰り返された上で、「それがわたしたちの責任だ」という主張が追加されています。

このように見てくると、「固有種が教えてくれること」は典型的な双括型の特徴をもった文章であることがわかります。

鉄則1で、「固有種が教えてくれること」の筆者の主張をつかむことができました。
次は、この主張のために筆者はどんな事例を挙げているのかを読んでいくことになります。
それが、この教材における「話題・課題を読む」に相当します。

「固有種が教えてくれること」では、次のように多くの資料が挙げられています。

  • 資料1:日本とイギリスの陸生ほ乳類
  • 資料2:日本列島の成り立ち
  • 資料3:1年間の平均気温
  • 資料4:標高
  • 資料5:絶滅したとされる動物(「ニホンオオカミの剥製」「ニホンカワウソ」)
  • 資料6:天然林等面積の推移
  • 資料7:全国のニホンカモシカほかく数

これらの資料が、どの段落で何のために使われているかを関係づけた読みを行い、筆者の主張の根拠をとらえます。
次の表は、その結果をまとめたものです。

資料 段落 何のために挙げられたか
資料1 ③段落 イギリスとの陸生ほ乳類の比較によって、日本に固有種が多いことの説明のため。
資料2 ⑤~⑥段落 日本列島の成り立ちの図から、日本列島は、大陸から切りはなされて島になった時期が地域でことなることの説明のため。
資料3
資料4
⑦段落 固有種が多い理由しての1年間の平均気温、標高による違いの説明のため。
資料5 ⑧段落 絶滅したとされる動物(「ニホンオオカミの剥製」「ニホンカワウソ」)を例として「絶滅危惧種」についての具体の説明のため。
資料6
資料7
⑨~⑩段落 固有種の保護は、その生息環境の保護のバランスが重要であることの具体的説明のため。

この表から筆者は、鉄則1でとらえた「固有種がすむ日本の環境を残していくべきだ。それがわたしたちの責任だ。」という主張の根拠として、次の事実を挙げていることがわかります。

  • 日本列島に豊かな環境があったため、多くの固有種が生き続けることができた。
  • 人間の活動によって固有種が減ってきている。
  • 固有種の保護が行われるようになったが、バランスが難しい。

鉄則1、鉄則2から、「固有種が教えてくれること」での筆者の主張とその根拠をとらえることができました。 今回は、「題名」も手がかりにしながら、この説明文を要約してみましょう。

この教材の題名「固有種が教えてくれること」には、「問い」の要素も含まれています。「固有種が教えてくれることは何なのか」を示していないからです。
この特徴から、次のように読みを進めていくことができます。

① 題名から問いの文をつくる。

(例)「固有種は、どんなことを教えてくれるの?」
「固有種から、何がわかるの?」

② ①の問いの答えを探す

・文章構成からとらえる(文章構成図をつくる)。
・資料の目的・内容を読み、構成との関係を読む。

③ ①の問いの文に対する答え(固有種が教えてくれること)

・固有種は、生物の進化や日本列島の成り立ちの生き証人として貴重な存在である。
・固有種は、日本列島のゆたかで多様な自然環境が守られていることの証しでもある。
・固有種は、日本の環境でしか生きていくことができない。

④ 鉄則1、鉄則2でとらえた「筆者の主張」と合わせて、「固有種が教えてくれること」を要約する。

 今回は150字以内で要約してみましょう(要約文は、指定の文字数に合わせ、長くしたり、短くしたりすることができます)。

 筆者は、「固有種は、『生物の進化や日本列島の成り立ちの生き証人』であり、『多様な自然環境が守られていることのあかし』であり、『日本の環境でしか生きていくことができない』」とまとめている。このことから、固有種がすむ日本の環境をできる限り残していかなければならない。と主張している。

《+one point》 要点・要約・要旨の違い 混同しやすい要点・要約・要旨ですが、次のような違いがあります。しっかりおさえておきましょう。

要点:1 つの形式段落の中で筆者が述べようとしたことを、短い文にまとめたもの。日常生活で用いる「要点」という言葉の意味とは異なる。

要約:文章全体のあらましをまとめること。要点を段落相互の関係に沿ってつなぐことで、要約することができる。

要旨:文章全体の中で、筆者が述べようとする内容や考えの、中心となる事柄。筆者の主張がある場合は、主張を抽象化したもの。

鉄則Ⅰ~Ⅲで見てきたように、本教材の特徴として次のようことが挙げられます。

  • ①「双括型」である。
    「双括型」の文章は、読み手を説得するための文型で筆者の主張が強調され、主張や要旨がとらえやすくなっています。よって、読みの学習においては、筆者の主張や文章全体の要約文を書く活動を設定できます。
  • ②読みを助けるための多くの「資料」が挙げられている。
    文章の内容の読みを助けてくれるのが、文章中の「資料」です。その資料が、どんな目的で使われているかを考えて読んでいくことで、文章構成を考えた読みを目指すことができます。
  • ③「題名」を問いとして読むことができる。
    説明文の題名には、「話題・課題」「題材」「筆者の主張」という3つの要素が含まれています。
    題名は、その文章の読みの方向を示唆しているのです。

これらの特徴をもとに、授業の方向を考えていくことができます。

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