芸術の秋に染まる!心を育てる図工・生活科

執筆者: 戸来友美(北海道千歳市立桜木小学校)

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はじめに

みなさん、こんにちは。芸術の秋です。

子どもと美術館に行ってアート作品に触れられるといいですが、なかなか難しいかもしれません。そこで、図画工作科の時間に楽しくアートに触れましょう。

その他に、秋を探して秋の木の実や赤く染まった葉っぱを使って、彩り豊かなワンプレートランチをつくってみることもおすすめです。

<おしゃべりかんしょう会のプロセス>

①見る

②考える

③話す

④聴く 

   『叫び』エドヴァルド・ムンク       

「対話型美術鑑賞」とは、鑑賞するときに解説文から知識を得るのではなく、その場で一つの絵を見る子どもたちが対話することにより絵の理解を深める鑑賞の方法です。絵の鑑賞と同時に主体的で対話的で深い学びにつなげていきます。

教科書に載っている作品の他に、​​著作権が切れた絵画はパブリックドメインとして、インターネット上で紹介されているので、活用できます。

作品は学級みんなで見られるように拡大しておきます。 

① 馴染みのある作品なので、子どもたちは興味をもって鑑賞します。しかし、知っているが故に、わかっていない所があることに気がつきにくいこともあると思います。


② まずはじっくりと作品を見る時間を取ります。

「叫びだ!」「ムンクだ!」のように、自分のもっている知識を伝えようとしますが、まずは静かに、隅々まで見るように伝えます。


③ 「見つけたこと、気づいたこと、考えたこと、疑問、なんでもいいのでみんなで話していきましょう」や「この作品で何が起きていると思いますか?」。そのように問いかけます。子どもたちが考えを話し始めると、絵のどこの話をしているのかを指し示すようにします。そうして全員が絵を見ながら話を聞きます。根拠をもって話せるようにするために、「どこからそう思った?」という問いを投げかけます。「なぜ」と問うより、子どもたちは答えやすいそうです。

「叫んでいる」『どこからそう思ったの?』「口が開いているから」


④ 「他にはありませんか?」と対話を広げ、子どもたちが考えたことを話し合います。心に湧き上がったものを話していきます。

「橋の上にいる」『どこからそう思ったの?』「柵があって、下が川みたいだから」


話をしていない周りの人たちは、絵を見ながら話している人の話を聞きます。そのことで、新たな視点で作品を見るようになります。


学習の振り返りをします。最終的な自分の解釈や今日の学びについて言語化します。最後に、作品づくりをしたりはしません。子どもたちと一緒に気づいたことを振り返ります。


対話的で深い学びにつながるこの鑑賞法は、6年生の社会科の教科書でも活用できます。歴史的な絵巻や写真を示して行うと、資料をよく見ようとする姿勢が見られました。そのときにも、「この絵では何が起きている?」「どこからそう思う?」「どうしてそう思った?」などと問いかけるようにします。

生活科では季節ごとに生活を工夫したり楽しくしたりする活動が組まれています。「秋さがし」で、その見つけた秋の木の実や色付いた落ち葉を使って、森のワンプレートランチをつくってみませんか?


<準備するもの>

・大きめの紙皿 人数分 (2人で1つを作るときには人数の半分)

・軍手 全員分

・ブルーシート できあがった作品を置くテーブルクロスの役目

・画用紙

・ペン

① 「秋さがし」として秋の植物を集めてきます。軍手があると安全です。どんなものを集めてきたのか、見せ合います。


② 「お腹も空いてきたので、ランチプレートをつくりましょう。材料は、先ほど集めてきたもので、見た目に美味しそうなものをつくりましょう。」と子どもたちに伝えます。ねらいと学級の実態を考慮して、1人でつくるようにしても、ペアで作るようにしてもよいと思います。


③ できあがったら、ブルーシートの上に置きます。そのランチプレートに名前をつけて、名前が見やすいように置きます。


④ ランチプレートの発表会をします。自分のつくったもののおすすめポイントを紹介し合います。最後は片付けてしまうので、つくったプレートは写真を残しておくとよいでしょう。


⑤ 視覚で十分楽しんだ後には「ごちそうさました」と言って片付けを始めます。元々あった場所に木の実や木の葉を戻して、片付け完了です。
 

⑥ 教室に戻り、振り返りをします。

ご紹介した2つの活動は、私自身が体験をして楽しいと思ったものです。

「おしゃべりかんしょう会」では、自分では気づかないところを他の方の発言で、見えるようになる楽しみがありました。ランチプレートづくりは、彩りを考えながら、自然と触れ合う活動がとても楽しい上に、できたものが可愛らしくて愛着をもって紹介できました。どの作品も素敵で、交流の時間もたくさん伝え合うことができました。

取り組んでもらえるとその魅力がわかると思います。よろしかったら、取り組んでみてください。


来月は、郡司竜平さんが、落ち着かないクラスの「個の見取り」について伝えてくれます。どうぞお楽しみに。

参考文献・URL

教えない授業 美術館発、「正解のない問い」に挑む力の育て方」 鈴木有紀(英治出版)

インタープリター・トレーニング 自然・文化・人をつなぐインタープリテーションへのアプローチ」津村俊充・植田直広・古瀬浩史・小林毅 編 (ナカニシヤ出版)

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