一人の百歩よりみんなの一歩! 校内研修をどう作る?

執筆者: 山崎 克洋

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みなさんこんにちは。神奈川県で小学校の教員をしている山崎克洋(やまざき・かつひろ)と申します。教職経験は15年目を迎えました。校内研究と校内研修は、私の中で明確に分かれています。校内研究は、学校で1つのテーマに向かって、教科の指導方法や学級経営などを研究する取り組みです。それに対して、校内研修は、所謂OJTなどのように、職場の中での自己研鑽を育む場です。教師生活の8年間をこの校内研修の運営に携わってきました。その経験を踏まえて、今回のテーマである「一人の百歩よりみんなの一歩! 校内研修をどうつくる?」についてお伝えしたいと思います。

初めて、校内研修の担当を任せてもらったのは、6年目でした。

前任の校長先生が立ち上げてくださった校内研修が、本当に素敵で、それを引き継ぐ形で、運営を任せていただいたのでした。

その名も『いちご研修』。

最初は1年目から5年目までといった若手の研修をイメージしていたところ

ベテランの先生から

「私たちも学びたいわよ♪」

といった声が上がり、『一期一会の研修=いちご研修』となったのでした。

 

その当時まだ若手だった私は、熱心に年間の計画を立てて、研修を運営していました。

最初こそ、足を運んでくれていた先生も多かったですが、段々とその足取りが遠のいていくことを感じました。

その要因は何だったのか?

それは研修担当の目線からのニーズしか考えていなかったからでした。

私がこれは必要だろうと下手に考えたことがマイナスでした。

それよりも、参加する人たちが何を学びたいのか?

いつだったら学びやすいのか?

そういったニーズに沿った形での運営にしていきました。

たとえば、テーマ設定をする上で、前年度のうちにアンケートをとり、それをもとにテーマを設定しました。

時間帯が勤務時間内なら、参加しやすいという先生方の声を受けて、勤務時間内でおさまる形に設定しました。

そして、特に大切にしたのは、自主参加研修のスタイルにしたことでした。

参加しても参加しなくてもよい。

強制感がないから、学びたいときに学べるそんな自由な雰囲気がありました。

ニーズに応えると同時に大切にしたことが、職員の強みにスポットライトを当てることでした。

それぞれの得意なことをテーマに講師を依頼していきました。

  • 体育の得意な先生には、体育の実技研修。

  • 総合の得意な先生には、総合の立ち上げ方。

  • 食育について知りたければ、栄養教諭の先生。

このように、それぞれの得意を生かした研修をデザインしました。

それと同時に、若手の困り感をテーマに、ワークショップ型や模擬授業の研修もたくさん取り入れました。

さらには、この研修に管理職も巻き込み、校長先生スペシャルと題して、校長先生に思う存分語ってもらう場も設けました。

優秀な校長先生であればあるほど、職員を前に語ることは減る気がしています。

普段は語らないからこそ、あえて、場を設定して、校長先生に語ってもらうことで、校長の本音や願いを改めて知るきっかけになりました。

 

これらの取り組みに共通することは、『参加型』ということです。

職員一人ひとりが参加型で研修がデザインされていくことで、それぞれのよさが発揮されていきます。

自分が前に立って話したり、グループの中で話す機会が生まれることで、「もう一度参加したい。もっと学びたい」。この気持ちが生まれていった気がします。

たくさんの人が参加することで、多くのユニークなアイディアある研修も生まれていきました。

  • 食育指導&防災炊き出し体験

  • 漢字を使ったリアル脱出ゲーム体験

  • オンラインzoom研修(コロナによる休校後、最速で研修)

  • いちごLINE研修(気軽な教育情報交換ツール)

  • いちご教育図書館(夏休みにおすすめ教育書をそれぞれ持ち寄り借りられるシステム)

こういった取り組みによって、職員自体がワクワクする年間的な研修へと変わっていきました。

 

そのような中で、今まで参加していなかった先生から

「〇〇をテーマに研修やりたいんだけど、やっていい?」

「いちご研あるから、今日は仕事早く終わらせないと♪」

そんな前向きな反応が出るようになりました。

そして、気がつくと、私が声をかけるのではなく、私以外の先生方が、キーマンとなって、多くの先生方を巻き込んでくれるようになりました。

私はこのとき、『ヘッドピンの法則』のことを思い出しました。

ボーリングのピンがヘッドピンを倒さないと倒れないように、職員の中でもヘッドピンのような大きな影響を与えている存在がいると思ったのです。

私は決して影響力を職場で与えられる存在ではありませんでしたが、先輩であるミドルリーダーの先生やベテランの先生、管理職など職場での信頼が厚い先生方の声に、多くの人が心を動かされていく様子を目の当たりにしたのでした。

人が人を呼び、また新しいアイディアが研修に生まれていく、そのような好循環が生まれていった気がします。

今、学校現場には、校内研修をする余裕がないところが多いです。

増え続ける授業内容、放課後に山積みになる様々な仕事、こういった中で、校内の学ぶ文化は失われつつあります。

しかし、本来、学校の多くの教師は学びたいと思っている人が多いです。

実際、コロナの休校期間中や短縮日課のときほど、職場の先生方は自発的に学びたいと誰もが考えていました。

つまり、学ぶ文化を創るには、働き方改革による『ゆとり』がセットなのです。

職員の学びたいという気持ちを叶えるためのゆとりを職場でつくりながら、ぜひ多くの学校で『学ぶ文化』を創り上げていってほしいと思います。

そして、『職員主語』の校内研修をデザインしていくことを願っています。

私も今の職場でその努力を続けていきます。

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