社会科授業を子供も教師も楽しむために読みたい5冊

執筆者: 三浦史聖

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私にとって社会科は「ワクワクする教科」です。社会科はその名の通り、大人になった今でも社会を見渡せば学びがあります。つい最近、通勤中にある中古車販売店で発見がありました。いつも通る道に面している車の並びが定期的に変わっているのです。それは私のように毎日同じ道を通る人にも様々な車を見てもらうための工夫なのでしょう。

通勤中に授業に生かせそうな『材』と出会いました。社会科は私たちの身の回りに『材』があふれた教科です。だからこそ、買い物をしていても旅行に行っても意図していない『材』との出会いがあると楽しくて仕方なくなります。そしてこの感動をどうにか子供たちに伝えられないか、授業に生かせないかと授業づくりにもワクワクが止まりません。きっと同じような経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。

しかし、授業はワクワクする気持ちだけでは上手くいきません。授業づくりにおいても、授業においても、この社会科のワクワクをみんなで味わってもらえるように学びたいと思っています。私と同じように社会科に興味をもち、楽しさを感じている先生方に、実践を積み上げて作り上げられてきた書籍を紹介します。目の前の授業だけではなく、これからの社会科授業の理想や構想を思い浮かべながら、読んでほしい5冊になっています。

授業UDとは場の構造化や刺激量の調整をする環境面の整備と、想定される子供のつまずきを整理した授業設計で「すべての子のために」行う授業のことです。この授業UDの中で、社会科授業にクローズアップしてまとめられています。

本書の特徴的な部分は「展開の構造化」が書かれていることです。教師の引き出しである技法の工夫はこれまでも様々な書籍でも学べましたし、先輩教員の授業を見させてもらえば知ることができました。明日やってみたいと思えるような工夫も多いと思います。しかし、展開の工夫は一単元丸々参観したり、授業づくりを一緒にさせてもらったりしなければ学びづらい部分です。

例えば、問いの工夫が大事だと分かっているけれど、どのような問い?順番は?セットとなる提示資料は?と、具体的にはイメージできないこともあります。この本では計13もの実践とともにポイントが書かれています。単元を通したねらい、設計、子供への手立てと技法の工夫も含めて授業の具体を想像するのにピッタリではないでしょうか。

著者も書かれていますが、まさにオーソドックスな授業を教えてくれる1冊です。社会科授業の地力を高めたい方におすすめです。

「教材研究とは、教師自身の問題解決的な学びである」

教師自身が学ぶこと、そして何より教師が楽しむことは授業づくりの重要な要素です。私たち教師が問題解決的な学びをしていくことは、授業づくりの質に好影響を与えると言えるでしょう。教材をより高い質の授業へとできるように、楽しく社会科と向き合いたいものです。

本書は全4章に分けられ、初めに学級経営、教材研究、授業づくりと3つの仕掛け、最後に実際の授業について書かれています。3章までは事前の仕掛けが語られていますが、最後には子供たちと作る授業の実際を見せてくれます。どんなに準備をしていても必ずよい授業となるわけではありません。ドキッとする言葉がありました。

「授業は、教師の教材研究発表の場ではない」

社会科に限らず特に力を入れて準備した授業なら、子供たちに伝えたいこと、考えてほしいことがたくさん出てきます。これも気付いてほしいな、ここまで考えてほしいなと勝手に基準を上げて子供たちに負担をかけてしまったことも少なくありません。

教師だけではなく子供たちとともに授業をつくるために、これまでの意図的な仕掛けがあることで見える姿、想定外をも楽しむ教師の心構えなどを知ることができます。授業設計者としてだけではなく、授業者としての自分を一歩前進させてくれそうです。

本書では抽象的な社会科授業のポイントを、より具体的な方法と実践で解説してくれます。読み進めると「なるほど」「こうするといいのか」とつぶやきながら付箋を貼り、メモをする手が止まりませんでした。今まで知っていた手法もその意味と効果を分かりやすく言語化してくれることで、身についた気にさせてくれます。明日からの授業に生かせること、そして次単元の授業づくりに生かせることと短期的にも長期的にも生かせる書籍です。

社会的事象との出合いが大きく子供たちの興味を惹きつけ、問題解決的な学習の入り口となります。そんな材の発見や教材化についても具体的実践を通して知り、イメージが湧くと早く授業づくりがしたいとワクワクする心が生まれていました。

とはいっても一から授業をつくる難しさと大変さは皆さんの知るところだと思います。そこで終盤に書かれている「授業の+α」は、社会科授業をつくる魅力を私たちに実感させてくれる一工夫です。楽しく学んでくれそうな材に出合ったり、もっと子供たちにも社会科の魅力を感じてほしいと思ったりしたら+αの出番です。

「私たち教師が社会科を面白がりながら授業を考えられる」

「子供にも楽しいと感じてもらえそうだ」

実感も経験も与えてくれる+αは、まさに社会科授業づくりを学んでいきたい教師の第一歩です。

香川県の小学校社会科教育研究会の先生方が教育課程から迫った理論を事細かに整理し、図式化してまとめた大作です。まず編集に関わった先生の多さに驚きます。香川県の先生方が理論と実践を幾度となく繰り返し、様々な人々が関わって作り上げた書籍なのだと思います。

 「社会に開かれた教育課程を実現するために」という視点で授業を考えたことはあるでしょうか。その視点で社会科学習をつくることは私にとっては本書と出会わなければ気付かないものでした。しかし頭では理解しても学校現場で実現する方法がなければいけません。絵に描いた餅とならないように、計画的で緻密な筋道を歩ませてくれるものとなっています。ただ授業をするだけにとどまらず、教科等横断的な授業、社会認識の系統性、幼小中での連携と、実現するための方法が多岐にわたって書かれています。

本書は、ハウツーのように、誰もがこの本を読めばできる、明日から生かせるというものではないように感じます。長期的かつ俯瞰的な目線に立ち、経験を積みながら学び続ける方におすすめしたい1冊です。社会に密接に関係する教科を私たち教師が広く、深い視野で見られるようになったら授業づくりにも授業にも生きるでしょう。さらに、これまでの社会科の捉えを見直し、社会に対するセンサーや学校教育全体の見方も変化する気がします。

これまで挙げた書籍とは異なり、基本的な授業技術や授業づくりが書かれているわけではありません。「まち」に焦点を当てることで子供たちが自分たちの問題として社会科を学ぶ「まちづくり的社会科」について書かれています。その中に歴史や政治の授業でも、まちを中心に据えた実践があることに驚きです。

まず私自身、これから社会科授業をつくるときには、この本を片手に持とうと決めています。これまで、子供たちはどこか他人事のように社会的事象に出合い、学び、これからの提案をしているように感じていました。それを解決しようと子供たちとの距離が近いまちの材に焦点を当てた授業づくりをしたことがあります。その後、本書と出会いました。そこには授業をしてみてもぼんやりとしたままだったことがくっきりと映し出されていました。私が今、社会科授業で取り組みたいのはこういうことだったのだと認識させてくれたのです。

はじめに述べた通り、まちには社会的事象がたくさんあります。まちの材はその地域に住んでいる子供たちにとって共通する材です。切実な思いをもって自分に引きつけて考えられる材でもあります。著者が述べる「地域から学び、地域に提案する社会科」は、全国どこの学校でも実践できること、そしてその地域ならではの実践となることも特徴です。子供たち一人一人が当事者意識をもって問題解決に向き合う姿を目指して、まちづくり的社会科に取り組んでみませんか。

森万喜子

三浦史聖(みうら・ふみあき)

1994年生まれ。川崎市立西有馬小学校教諭。

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