授業改革の二大論点 算数の活動・算数の活用
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商品説明
新学習指導要領での再定義で注目を集める数学的活動。数学的活動は算数的活動とどう違うのか、日常の事象を対象にした問題発見・解決の活動とは何か。「算数の活動」、「算数の活用」の2つの切り口で、数学的活動の正体を探る一冊。
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はじめに
全国算数授業研究会の全国大会が今年で30回目を迎えます。 本会は学習指導要領改訂の節目には、毎回新たな教育課題の方向性について議論し、単行本の形で世に問うてきました。 その都度「不易であるべきものは何か」さらに「変えていかねばならないことは何か」を現場の目線で確かめ合ってきたのです。 今回の議論は、数学的活動に関するものです。 算数的活動と呼ばれていたものが、「数学的活動」に変わることで何が変わるのか、算数を日常に活用するとはどういうことか、様々な研究会で現場の先生方から必ず出てくるこの二大論点に焦点を当てました。 過去改訂の度に現場が示されたキーワードの解釈に右往左往してきたことの反省を踏まえ、今度こそ現場の教師が自ら積極的に考えていく機会をつくりたいと考え、本会の理事たちも、それぞれが個人の視点で論を展開していくことを許しました。示された30の提言から読者の先生方が取捨選択し自分なりの考えをつくってもらうためです。 ただ執筆にあたって、本質を考えていく議論とするために次のような大きな前提にたつことは話し合いました。 まず、そもそも算数でなぜ活動するのかという目的です。 従ってあえて書名は算数的活動でもなく、数学的活動でもありません。私たちが子どもたちに取り組ませていきたい「算数の活動」について原点に立ち戻って考えます。 もう一つは中央教育審議会の時から、ずっと話題になっていた「活用」の視点です。日常に算数を使うと言うと、短絡的にすぐに買い物の場面などを例にあげる方もありますが、算数はもっと人間の思考の土台育成に大きな役割を果たしていることに言及したいと考えます。学んだことをどのように「活用」していくのか、いやそもそも「活用できる」ように算数を学ばせるにはどう授業を変えていくのか。本書がこれからの日本を背負っていく子どもたちの真の人間力を育てる授業改善に役立つことを願ってやみません。 全国算数授業研究会 会長 田中博史