寄附文化とスピリチュアリティ ー渋沢栄一と大原孫三郎の場合ー

    寄附文化とスピリチュアリティ ー渋沢栄一と大原孫三郎の場合ー

      ISBN: 9784491046198

      丸山 登/著

      2,545(税込)

      著者紹介

      丸山登
      公益財団法人 上廣倫理財団 専務理事・事務局長
      1947年、東京都生まれ。日本教育社会学会会員、米国テネシー州名誉州民。1969年、立教大学経済学部卒業、経済学学士。2001年、流通経済大学「学習における身体性に関する社会学的研究:伝統芸能を中心にして」にて社会学博士号。2007年、日本大学「公益法人による大学への財政的支援の法的課題」にて法学修士号。2021年、上智大学「フィランソロピスト 渋沢栄一の宗教文化的研究」にて文学博士号。
      [2021年9月現在]

      目次

      まえがき
      序章 渋沢栄一と大原孫三郎の「フィランソロピー」
      第一節 本書の目的
      第一項 渋沢栄一と大原孫三郎の生涯
      第二項 本書の目的
      第二節 方法論
      第一項 フィランソロピーと「フィランソロピー」
      第二項 「贈与文化史」の視点
      第三項 「宗教・宗教性」の視点
      第四項 「モラル・エコノミー」「相互扶助の経済」の視点
      第一章 渋沢栄一の「フィランソロピー」
      第一節 武蔵国血洗島村の渋沢一族
      第一項 自然環境と地域性
      第二項 家族と親族
      第二節 渋沢栄一の「フィランソロピー」の形成要因
      第一項 渋沢栄一を育んだ藍玉の家業
      第二項 渋沢栄一と論語
      第三項 渋沢の西欧文明との遭遇
      第三節 実践される「フィランソロピー」
      第一項 渋沢と大原の人物鑑定法
      第二項 渋沢の「仁」と人間関係重視の姿勢
      第二章 渋沢栄一と近世日本の実学思想 ―海保青陵との関連を中心に―
      第一節 渋沢栄一の学問的背景
      第一項 近世村役人層の学問
      第二項 地域における文化形成と在村知識人
      第三項 渋沢栄一と同族関係
      第二節 近世社会思想の系譜―先駆者・海保青陵の事績から―
      第一項 先駆者・海保青陵の思想
      第二項 海保青陵の足跡―旅する文人―
      第三項 渋沢栄一に対する海保青陵の思想的影響
      第三節 合理主義の実像
      第一項 渋沢にとっての「合理主義」とは何か
      第二項 百姓から武士への転身
      第三項 近世社会から生まれた渋沢の思想と行動
      第三章 倉敷大原家の「フィランソロピー」−大原孫三郎の実践を中心に-
      第一節 大原家をめぐる地域と家族史
      第一項 大原家の歴史
      第二項 大原家の「フィランソロピー」
      第三項 大原家の土地取得の社会的背景
      第四項 永続的繁栄をもたらした養子制度
      第二節 「フィランソロピー」と経済的要因
      第一項 篤志活動の歴史的系譜
      第二項 幕府領という倉敷の地域特性
      第三項 倉敷における義倉・続義倉
      第四項 大原家の所有地と「フィランソロピー」
      第三節 大原家の「フィランソロピー」
      第一項 奨学金制度―出世証文と奨学金制度を中心に―
      第二項 岡山孤児院への寄附活動―石井十次との関係を中心に―
      第四節 渋沢と大原比較―地主と小作の関係を中心に―
      第一項 名主と庄屋
      第二項 武蔵国渋沢家の地主・小作人関係
      第三項 幕府領倉敷大原家の地主・小作人関係
      第四章 災害・疫病・飢饉時の「フィランソロピー」 ―渋沢栄一と大原孫三郎の実践―
      第一節 寄附の背景としての宗教性
      第二節 渋沢栄一の災害・疫病・飢饉時の「フィランソロピー」
      第一項 渋沢栄一のフィランソロピスト人生
      第二項 渋沢の募金の姿勢
      第三項 関東大震災における渋沢栄一の募金活動
      第四項 明治時代の篤志活動
      第三節 大原孫三郎の医療分野の「フィランソロピー」
      第一項 倉敷紡績工場における従業員のチフス感染
      第二項 スペイン風邪(スペイン・インフルエンザ)の流行
      第三項 倉紡中央病院の設立
      第五章 渋沢栄一と大原孫三郎の「フィランソロピー」の宗教性
      第一節 青春期における精神遍歴
      第一項 渋沢栄一の「挫折」「回心」「再生」
      第二項 大原孫三郎の「挫折」と「回心」
      第三項 渋沢栄一と大原孫三郎の精神遍歴比較
      第二節 晩年期の精神的円熟
      第一項 渋沢栄一の晩年期
      第二項 大原孫三郎の晩年期
      第三項 渋沢栄一と大原孫三郎の晩年の比較
      第三節 渋沢栄一の「非宗教性」と大原孫三郎の「宗教性」
      第一項 渋沢栄一の「非宗教性」
      第二項 大原孫三郎の「宗教性」
      終章 フィランソロピーと宗教性
      第一節 渋沢栄一と大原孫三郎の宗教性
      第二節 近代におけるフィランソロピーの精神の形成
      第一項 ベンジャミン・フランクリンと「宗教性」
      第二項 マックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
      第三項 ロバート・ベラーの『徳川時代の宗教』と日本の近代化
      第四項 安丸良夫の「民衆思想」と日本の近代化
      第五項 島薗進の「日本の近代化と宗教の呪術性考」
      第三節 本書の結論
      あとがき
      参考文献等一覧

          商品説明

          寄附文化とスピリチュアリティ

          チャリティ、パトロネージ、そして、フィランソロピーにせよ、自らの能力と幸運によって巨富を得た人々が納税とは別に、自発的に、寄附という行為を通じて私的な富を社会に供出するのはなぜか。もちろん、再配分を通して、社会や国家から好ましい人物として見られたいという政治的、経済的、社会的、心理的背景もある。しかし、富を得たすべての人々が寄附をするとは限らない。そこには、宗教的な背景、あるいは、特定の宗教とは異なる広い意味の現代では、スピリチュアリティと呼ばれる宗教性の働きもあるのではないか。人はなぜ寄附をするのであろうか、寄附をすることには、寄附をしないことと比べてどのような精神性、あるいは、心理的な違いがあるのであろうか。私は、寄附をすることが人々に対してどのような精神的な安寧を与えるのかについて、深めたいと考えるようになった。いつか、その課題に挑戦してみたいと願っていたが、上智大学に大学院実践宗教学研究科が創設されることによって、本格的に挑戦する可能性が開けることになった
          本書は、近代日本における寄附文化を渋沢栄一と大原孫三郎を対比させながら、欧米とは異なる独自性を探求することを目的としている。
          従来の渋沢栄一・大原孫三郎のフィランソロピーの経済、政治、社会、文化的研究の中で見落とされていた、近世日本の村落共同体における「モラル・エコノミー」や「相互扶助の経済」に注目して欧米のフィランソロピーにはない、特定の宗教に影響されない篤志の実態を明らかにする。一方で、渋沢や大原という実在したフィランソロピストが経済的な成功を収め、同時に篤志活動においても大きな足跡を残した背後で働いていた宗教やスピリチュアリティについても解明する。とくに、両者の青年期における精神的遍歴を詳細に捉えることで、渋沢・大原研究に新たな視座を提供することを試みる。
          尚、本書は、2020年度に上智大学に学位請求論文として提出され、博士号の学位を取得した論文を一部加筆修正したものである。

          商品の仕様

          • 読者対象: 大学教員・一般
          • 出版年月: 2021年9月10日
          • ページ数: 274

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