「答えの段落」は、どうやって特定する? ~「ありの行列」(光村図書3年)より~

執筆者: 白石 範孝

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説明文の読みでは、話題・課題と、結論をとらえることが重要です。そのための手がかりが≪問い≫と≪答え≫です。
文頭・文末の言葉や、論理的な展開を示す言葉にも着目しながら読んでいきましょう。

【今回の「問い」】

この説明文の≪問い≫に対する≪答え≫は何?

【習得を目指す力】

説明文における≪問い≫と≪答え≫から、筆者が伝えたかったことをとらえる力

それでは、「【問い】の解決」による「ありの行列」の、実際の授業を見ていきましょう。

「世界でいちばんやかましい音」には、次のような特徴があります。

→話題・課題が明確なので、何について読んでいけばよいのかという問題意識を明確にして読み進めることができる。

→≪問い≫と≪答え≫の関係から、筆者が伝えようとしたことをとらえることができる。
→文章の結論を導き出した根拠をとらえることができる。

説明文の読みでは、各段落の役割を把握することが必要です。
「ありの行列」では、各段落の文頭の言葉や文末の言葉を手がかりに各段落の役割をとらえやすくなっています。

段落 文頭 文末  
夏になると、 行列ができるのでしょうか。 ≪問い≫
アメリカに、 かんさつしました。 「かんさつ」について
はじめに、 外れていないのです。 「かんさつ」の具体的な内容の第一番目のこと
次に、 つづきました。 「かんさつ」の具体的な内容の第二番目のこと
これらのかんさつから、 と考えました。 ここまで述べられた二つの観察の結果を踏まえたこと
観察結果からウイルソンが考えたこと(考察)
そこで、 えきです。 考察をもとに行ったこと(研究)
この研究から、 知ることができました。 研究によって明らかになったこと
はたらきありは、 強くなります。 「はたらきあり」の特徴について
このように、 というわけです。 行列ができる理由

このように、「なぜ、ありの行列ができるのか」という≪問い≫が①段落で提示され、②段落以降では、その≪問い≫を解決していった順序が明確に示されています。 「何によって、どういうことがわかったのか」がとらえやすいと言えるでしょう。

また、「結論」めいたことが⑦~⑨段落に書かれていますが、≪問い≫が「ありの行列ができる『理由』」をたずねているので、それに対する≪答え≫は⑨段落であると判断できます。

≪問い≫とは筆者が提示する「話題・課題」であり、≪答え≫がその説明文を通して筆者が伝えたかったこと、つまり結論や主張につながっていきます。

教材研究から見えてきた、「ありの行列」の特徴のうち、今回は特徴2として挙げた「≪問い≫の解決の順序が明確」に着目し、子どもたちが次のような【問い】をもつ授業を組み立てたいと思います。

※ここでの【問い】は、「説明文の≪問い≫と≪答え≫」の≪問い≫のことではありません。ちょっとややこしいですが、注意してください。

【問い】
この説明文の≪問い≫と≪答え≫は何?

子どもたちに「中心人物」と「中心人物の心の変容」に関心をもたせるため、次のような【課題】を示しました。

【課題】
この物語では、中心人物はどのように変わったのだろう?

「ありの行列」の≪問い≫と≪答え≫はどこだろう?

【活動指示】
≪問い≫の段落と、≪答え≫の段落を見つけよう。

となります。

活動指示に対して、≪問い≫の段落は①段落で一致しますが、≪答え≫の段落について、次のような【ズレ】が生じます。

  • ⑦段落
  • ⑧段落
  • ⑨段落
  • 一つの段落にしぼれない

そこから、次のような【問い】が生まれます。

【問い】
≪答え≫の段落は、どうやって見つけるの?

ここで子どもたちに「段落の役割」という視点を与えます。
段落の文頭や文末の言葉に着目すると、その段落がどんな役割をもち、前後の段落とどうつながっているのかを明らかにすることができます。

その視点で見てくると、⑦~⑨段落は文章全体のつながりの中で、次のような役割をもっていることが見えてきます。

⑦段落…ウイルソンの、はたらきありの体の仕組みについての研究によって明らかになったこと(研究結果)
⑧段落…「はたらきあり」の体の仕組みの特徴
⑨段落…ここまで述べてきたことをまとめ、ありの行列ができるわけ(理由)

となります。

題名が主張内容を含んでいる。 技 →筆者の主張をとらえることができる。

説明文の題名には次のようなものがあります。
a「題材」を題名にしたもの
b「話題・課題」を題名にしたもの
c「まとめ・主張・要旨」を題名にしたもの
したがって、題名を検討することによって、筆者の主張や要旨などをとらえる手掛かりとすることができる場合があります。

〔「思いやりのデザイン」では…〕
「思いやりのデザイン」という題名は、本文の最後である⑤段落で述べられている言葉です。これを題名として取り上げているということは、筆者が強く思っていること、つまり筆者の主張に結びついていると考えることができます。

今回は、この特徴を利用して説明文の筆者の主張をとらえる【技】の習得を目指します。
なお、「思いやりのデザイン」には、このほかにも、以下のような特徴があります。

ここで子どもたちに「段落の役割」という視点を与えます。
段落の文頭や文末の言葉に着目すると、その段落がどんな役割をもち、前後の段落とどうつながっているのかを明らかにすることができます。

その視点で見てくると、⑦~⑨段落は文章全体のつながりの中で、次のような役割をもっていることが見えてきます。

⑦段落…ウイルソンの、はたらきありの体の仕組みについての研究によって明らかになったこと(研究結果)
⑧段落…「はたらきあり」の体の仕組みの特徴
⑨段落…ここまで述べてきたことをまとめ、ありの行列ができるわけ(理由)

これらのことから、「ありの行列」の≪問い≫と≪答え≫は、次のようにまとめられることがわかります。

《問い》 
なぜ、ありの行列ができるのでしょうか。 
《答え》 
においをたどって、えさの所へ行ったり、巣に帰ったりするから。

このように≪問い≫と≪答え≫を明らかにすることによって、筆者が伝えたかったことが「ありは、とくべつのえきを出す仕組みをもっており、そのにおいをたどることで、えさのある所と巣との間を行き来している。だからありの行列ができる。」ということだとわかります。

今回の【問い】の解決の過程では文頭・文末の言葉のはたらきに注目しました。
このほかに、「観察」「実験」「結果」などのほか、観察や実験の結果から自分の考えをまとめる「考察」、考察から導き出す「結論」といった言葉を扱い、それぞれの関連性を示すことができれば、子どもたちの論理的な読みをもう一段階進めることができると思います。

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