「思いやりのデザイン」ってどんなデザイン? ~「思いやりのデザイン」(光村図書4年上)より~

執筆者: 白石 範孝

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説明文の学習で最も大切なことは、筆者の主張をとらえること。
今回はその具体的な方法の習得を目指します。

【今回の「問い」】

「説明文の題名には、どんなことが書かれているの?」

【習得を目指す力】

筆者の主張をとらえる力

……【課題】【活動指示】【ズレ】【問い】【技】の関係を理解しましょう。

【課題】 授業の最初に行う教師の発問。
子ども同士の【ズレ】や、子ども自身の中に生じる【問い】に結びつくものでなければならない。
【活動指示】 【課題】の解決のために子どもたちが行うことの具体的な指示。
【活動指示】が曖昧だと、子どもたちは何を行えばよいのかがわからない。
【ズレ】 子ども一人ひとりの【活動指示】の結果の違い。
【ズレ】が生じることで、子どもは「だって……」と説明の根拠を求め始める。
【問い】 【ズレ】の解決の課程で子どもたちの中に生じる疑問。
【問い】の解決は「用語」「方法」「原理・原則」を用いた論理的な思考に基づいて行わなければならない。
また、【問い】を解決することによって、子どもたちは【技】を習得することができる。
【技】 国語の「読み」において、汎用的に使うことができる力。
どんな【技】の習得をめざすのかが、国語における学習目標やめあてとなる。

これらの関係を図に表すと、次のようになります。

「問いの解決」による「思いやりのデザイン」の授業
それでは、「思いやりのデザイン」の、実際の授業を見ていきましょう。

「思いやりのデザイン」には、次のような特徴があります。

題名が主張内容を含んでいる。 技 →筆者の主張をとらえることができる。

説明文の題名には次のようなものがあります。
a「題材」を題名にしたもの
b「話題・課題」を題名にしたもの
c「まとめ・主張・要旨」を題名にしたもの
したがって、題名を検討することによって、筆者の主張や要旨などをとらえる手掛かりとすることができる場合があります。

〔「思いやりのデザイン」では…〕
「思いやりのデザイン」という題名は、本文の最後である⑤段落で述べられている言葉です。これを題名として取り上げているということは、筆者が強く思っていること、つまり筆者の主張に結びついていると考えることができます。

今回は、この特徴を利用して説明文の筆者の主張をとらえる【技】の習得を目指します。
なお、「思いやりのデザイン」には、このほかにも、以下のような特徴があります。

双括型である。 →筆者の主張をとらえることができる。

事例が比較されている。 →筆者の主張をとらえることができる。

教材研究から見えてきた、「思いやりのデザイン」の特徴は、いずれも筆者の主張をとらえることにつながるものでした。
今回は、特徴1を用いて、筆者の主張をとらえる【技】を子どもたちが習得できることを目指します。
そのために、子どもたちが次のような【問い】をもつ授業を組み立てたいと思います。

【問い】
「説明文の題名には、どんなことが書いてあるの?」

子どもたちに「説明文の題名にはどんなことが書いてあるのか」を考えさせるために、それをストレートに【課題】や【活動指示】として示したのでは、子ども自身のなかから生まれた【問い】とはなりません。
そこで、子どもたちに「題名」と「本文で述べられていること」との関係に関心をもたせるため、次のような【課題】を示しました。

【課題】
題名の「思いやりのデザイン」とは、どんなデザイン?

【活動指示】としては、「題名の『思いやりのデザイン』とはどんなデザインなのか、友だちと話してみよう」でいいでしょう。

【活動指示】に対して子どもたちが示す「答え」としては、次のようなものが想定されます。

  • 伝えたいことを絵や図、文字を組み合わせて見える形にしたデザイン。
  • 相手の立場から考えるデザイン。
  • インフォグラフィックスのデザイン。
  • 相手の目的に合わせて作ったデザイン。

様々な考え方が飛び出すことで、子どもたちは【ズレ】を感じます。
そして、「そもそも『題名』にはどんなことが書いてあるのだろうか?」という【問い】をもつようになります。 その【問い】の解決を図る中で、「題名には『まとめや筆者の主張・要旨』などが書かれたものがある」ということを学び、「題名を手掛かりにして『筆者の主張』をとらえる」という【技】の習得に結びついていくのです。

≪+one point≫

子どもたちからは、以下のような答えも出てくると思われます。

  • あまりよく分からない。
  • どの部分が答えになるのか、よく分からない。

これらは、「答えられなかった」「できなかった」で終わらせてしまいがちです。
しかし、「なぜ答えられないのか」「どんなところで迷っているのか」などを拾い出すことで、議論を深めたり、新たな【ズレ】の存在に気づかせたりすることができます。

【ズレ】の存在に気づいた子どもたちは、自分がそう考えた理由について「だってね……」と説明をはじめます。
このとき、教材文の叙述を離れ、自分自身の生活体験の中から考えている「思いやりのデザイン」について話し始める子どももいますが、「今は、この説明文の筆者がどう考えているのかを話し合おう」と軌道修正します。

【課題】や【活動指示】で「題名」と指定していますが、中には本文中にも「思いやりのデザイン」という記述があることを指摘する子どももいます。
そこから、本文中の「思いやりのデザイン」という言葉は、「相手の立場から考えたデザイン」を言い換えたものであることに気づきます。
筆者は、デザインは「相手の立場に立って考える」ことが大切だと言っているのであり、それが「思いやりのデザイン」だと言っているわけです。
ここまでの【問い】の解決を通して、子どもたちは「思いやりのデザイン」という題名には、「デザインは相手の立場に立って考えることが大切だ」という筆者の主張からつけられていることを理解できます。

≪+one point≫

冒頭で示したように、「思いやりのデザイン」は、筆者の主張をとらえることにつながる、他の特徴ももっています。
この段階で、それらについて触れるのもよいでしょう。

「筆者の主張」をとらえる方法はいくつかあります。 教材の特徴によって、その方法が適しているのかを判断します。
今回の「思いやりのデザイン」には、「筆者の主張」をとらえることにつながる、いくつかの特徴があります。
今回はそのうち「題名」に着目した授業を組み立てましたが、別の特徴に着目する授業を組み立てることも可能です。
子どもたちの習得状況や、年間の学習計画などから判断してください。

いずれにしても、大切なのは【課題】と【問い】をきちんと区別するということです。

【問い】の解決による国語の授業では、
・教師から出される【課題】
・子どもたちの中に生じる【問い】
――の違いの理解が難しいようです。

今回は「思いやりのデザイン」の授業を通じて説明してみましたが、いかがだったでしょうか。

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